市役所の融資制度でお金を借りる!生活福祉資金貸付制度とは
お金を借りる方法として、手軽に借りるには消費者金融や、銀行カードローンでお金を借りる事です。カードローンは申込も簡単で、少額であれば運転免許証や健康保険証があれば、申込をしたその日に借りられるという事で人気があります。
ただ、カードローンを利用するには、働いている事を条件としているところが多いので、求職中の人や、身体に障害がある人、高齢者の人が申し込みをしても融資を受けるのが厳しく、ほとんどの場合審査に通りません。
あまり広くは知られていませんが、個人が国からお金を借りる制度があります。その制度は「生活福祉資金貸付制度」と呼ばれるもので、一定の条件を満たせばお金を借りる事が出来ます。
生活福祉資金貸付制度」とはどんな制度なのか、利用できる人や貸付条件などを紹介しますので、利用してみようと思う方は参考にして下さい。
市役所に融資制度があるのは知っている?
「生活福祉資金貸付制度」は、都道府県・市町村役場の社会福祉協議会が行っている公的な融資・支援制度です。
たとえば、生活資金を他から借る事が難しい人や障害者世帯、高齢者世帯などを対象に、一時的に生活資金などを融資してもらえる制度の事です。経済的に苦しい人を対象にした融資制度なので、民間の金融機関では考えられないほどの低金利で利用できるのが特徴です。
「生活福祉金制度」とはどんな制度?
「生活福祉資金貸付制度」は大きく分けて4種類、細かく分類すると9種類の資金があり、お金の用途に合わせて申し込みます。
「総合支援資金」は、失業などが原因で生活に困窮している人が、生活を再建するまでの間に必要な生活費として貸付を行うものです。
生活支援費 |
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住宅入居費 |
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一時生活再建費 |
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福祉資金は、やむをえない理由でまとまったお金が必要な人にお金を貸付ける制度なので、お金を必要とする理由がなければ福祉資金を利用することはできません。
福祉費 |
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緊急小口資金 |
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教育支援資金は、教育費を必要としている世帯のための貸付制度なので、教育費目的でなければ利用できません。
教育支援費 | 低所得世帯の子供が高等学校や大学、又は高等専門学校に就学するのに必要な経費 |
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就学支援費 | 低所得世帯の子供が高等学校や大学、又は高等専門学校への入学に必要な経費 |
低所得の高齢者世帯に対して融資をする制度です。
不動産担保型生活資金 | 低所得の高齢者世帯に、居住用不動産を担保として生活資金を貸し付ける資金 |
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要保護世帯向け不動産担保型生活資金 | 要保護が必要な高齢者世帯に対し、居住用不動産を担保として生活資金を貸付ける資金 |
申し込みが出来るのはどんな人?
総合支援資金・福祉資金・教育支援資金の申込は、下記の条件をすべて満たす必要が有ります。
低所得世帯である事
基本的に「市町村民税非課税程度」の世帯になりますが、具体的には各市町村で確認する必要が有ります。
他の制度が利用できない
他の制度としては、生活保護や失業保険、傷病手当金、住宅支援給付、奨学金、母子寡婦福祉資金などが利用出来ない世帯です。
これらが利用できる方はこちらを優先するように勧められますが、生活保護者については各自治体によって違うので、最初にケースワーカーに相談する事をおすすめします。
返済が見込める事
「生活福祉金貸付制度」は生活保護と違って、貸付になるので返済の見込みのある世帯でなければ融資は受けられません。社会福祉協議会の担当者が面談で返済する意思があるかどうかを判断します。
福祉貸付を申込む都道府県に住んでいる事
福祉貸付は、住民票がある都道府県でなければ申込みはできません。ただし、総合支援資金の場合は、現在住居がなくても、住民票がある都道府県内に住居が確保できる見込みがある所帯は申請が可能です。
たとえば失業などで社宅や寮から出たために住居がないという所帯は、先に「住宅支援給付」を受けて、住まいを確保する必要があります。
福祉貸付の連帯保証人になっていない事
すでに福祉貸付の連帯保証人になっている方は申込みできません。
総合支援資金を受けるための追加条件
総合支援資金を利用する場合は、①~⑤までの条件に加えて、下記の条件を満たす必要が有ります。
- 以前は就労していたが、現在は失業中である。
- 申込者の年齢が65歳未満である事が条件ですが、60歳以上の場合は「仕事を離れて1年以内」「新しい仕事に就く意欲がある」「生活支援費の返済を3カ月以内に返せる見込みが有る」方になります。
- 生活保護を受けていない方
- 自営業や会社経営者以外の方
- 公的年金を受給していない方
生活福祉資金貸付には審査が有ります。審査で「返せる見込みがない」と判断された場合は、いくら生活に困っていても制度を利用する事が出来ないことがあります。
- すでに生活保護や失業給付を受けている。
- 収入がない、もしくはかなりの低収入(返済が見込めない)
- 多重債務者となっている人
- 住居が確保できていない、または確保が見込めない人
- 貸付制度を利用できる人(失業給付や老齢年金など)
の人は、基本的この貸付制度は利用出来ません。
「生活福祉金制度」の貸付条件
資金の種類 | 貸し付け条件 | ||
償還期限 | 利用金利 | ||
総合支援資金 | 生活支援費 | 据置期間経過10年以内 | 連帯保証人あり無利子
連帯保証人なし年1.5% |
住宅入居費 | |||
一時生活再建費 | |||
福祉資金 | 福祉費 | 据置期間経過後20年以内 | 連帯保証人あり無利子
連帯保証人なし年1.5% |
福祉資金 | 緊急小口資金 | 据置期間経過後12月以内 | 無利子 |
教育支援資金 | 教育支援費 | 据置期間経過後20年以内 | 無利子 |
就学支度費 | 無利子 | ||
不動産担保型生活資金 | 不動産担保型生活資金 | 据置期間終了時 | 年3%又は長期プライムレートのいずれか低い利率 |
不動産担保型生活資金 | 要保護世帯向け不動産担保型生活資金 |
ほとんどの資金は連帯保証人がいれば無利子で借りられます。
福祉資金(緊急小口資金)と教育支援基金(教育支援費、就学支度金)については連帯保証人なしで無利子です。
申込時に必要なもの
生活福祉資金貸付制度を申込む時は、多くの書類を用意しておく必要がありますが、福祉協議会によって提出する書類が違う場合があるので、相談に行った時に問い合わせをしておく必要があります。
基本的な必要書類は
- 世帯の状況がわかる書類(住民票など)
- 借りる人の本人確認書類(運転免許証や健康保険証など)
- 給与明細、源泉徴収票、通帳の写しなど
- 税金の納付がわかる書類
- 連帯保証人の給与明細、源泉徴収票、通帳の写しなど
- 債務状況がわかる書類
- そのほか社会福祉協議会が指定する書類
そのほかも、教育支援費の場合は在学証明書や住宅入居費なら賃借契約書などが必要になります。
申し込みから融資までの流れ
「生活福祉資金制度」を利用するには、早くても1か月以上必要なので、少しでも早く民生委員に相談して進めるのがポイントです。
自分が住んでいる地域の民生委員または市区町村の社会福祉議会に相談します。ただし就職先が未定の場合で「総合支援資金」や「緊急小口資金」の申請をする場合は、先に自立支援相談機関に行く必要があります。
そこで相談をしたのち、担当者から社会福祉協議会の窓口に紹介してもらえます。
申込みが決まったら、必要書類を提出します。書類を提出すれば、民生委員や市区町村社会福祉議会、都道府県社会福祉議会による審査を受ける事になります。
審査が完了すれば、申請者に対して貸付決定通知書または不承認通知書が送付されます。
借用書や印鑑証明書を提出して貸付契約を結びます。
契約が完了すれば、指定金融機関の口座に貸付金が振り込まれます。
いくらまで借りられる?
資金の種類によって融資限度額が違います。
総合支援資金
生活支援費 |
二人以上の世帯は月20万円以内、単身世帯は月15万円以内 |
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住宅入居費 | 40万円以内 |
一時生活再建費 | 60万円以内 |
福祉資金
福祉費 | 580万円以内(資金用途に応じて上限が変わってきます) |
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緊急小口資金 | 10万円以内 |
教育支援資金
教育支援費 |
※特に必要と認める場合は、上記各上限額の1.5倍まで貸付可能 |
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就学支援費 | 低所得世帯の子供が高等学校や大学、又は高等専門学校への入学に必要な経費 |
不動産担保型
不動産担保型生活資金 |
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要保護世帯向け不動産担保型生活資金 |
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希望すれば限度額一杯で借りられるわけではありません。たとえば、失業している人が生活支援費を借りる場合、失業前の給料に基づいて月額が決まります。
ちなみに、生活支援費は最長12カ月借りられますが、就職が決まったらその時点で打ち切りになりますが、働き始めて最初にもらう給料が勤務日数の関係で少ない場合もあるので、就職した翌月までは借りる事が出来ます。
借りたお金の返済は?
返済方法は、基本的に毎月20日に口座振替になります。ただし、最終償還期限までに償還金の支払が出来なかった場合は、翌日から延滞元金について年10.75%の延滞利子がつきます。
ちなみに、天災その他のやむを得ない事情があり、返済が著しく困難と認められる時は、所定の手続をして審査を受ければ、支払いを一時延期な延期や、免除してもらえることもあります。返済で困った事は、担当の民生委員や市区町村社協に相談することをおすすめします。
まとめ
民生委員は常に社会福祉協議会との連携を取っているので、いくらお金が必要なのか、どの制度を利用するのかなど事前に細かく相談しておけば、「書類が不足していた」とか「記入ミスがあった」というような事も事前に防ぐことが出来ます。